英語の勉強で最も効果が高いと言われる「音読」。関連する書籍がたくさん販売されていますし、また、予備校や塾でも取り入れられています。

皆様も一度は「英語をきちんと学ぶのならば『音読』をしなければいけないよ」と言われたこと、ありませんか。

では、どのように「音読」をすれば良いのでしょうか。ひょっとして「声に出すことが音読」とあなたは思っていないでしょうか。

英語学習の最終ゴールは4技能(読む、聞く、書く、話す)を身に着けることです。その際に音読が重要なのですが、音読の目的は「今まで学んできた理論を音によって定着させる」ということです。
つまり自動車免許の取得と同様で「理論=学科」です。しかし学科を学んだからと言って車が運転できるはずがありません。実際に座席に座り、ハンドルを握り、ブレーキやシフトレバーを操作しながら、周囲の状況に合わせて「実際に」運転しなければ身につかないのです。音読はこの「運転」に当たります。ですから、単語も文法も何も勉強していない状態で、いきなり音読から入るのはでたらめな勉強方法と言わざるを得ません。

以下に正しい音読方法について順に説明します。

①単語の理解(意味が分かる・発音ができる)

②文構造の理解(文法が分かる・訳せる・発音ができる)

まず、前提として①、②を済ませなければなりません。

③ネイティブの発音を模写

棒読みではいけません。正しい発音を身に着けることが必要になります。そのためテキストに付属のCDを使うことをお勧めします。また、正しい発音というのは「強弱」「リンキング」も含みます。
「強弱」とは、その名の通り、強く読むところと弱く読むところです。弱く読むには「発音していない」ということも含まれます。

〈強弱の例①〉andは「アンド」ではなく、「アン」「ン」
〈強弱の例②〉butは「バット」ではなく、「バッ」「バ」

「リンキング」とは単語と単語がつながって発音されることを指します。

〈リンキングの例①〉Did youは「ディド ユー」ではなく、「ディッヂュー」
〈リンキングの例②〉get upは「ゲット アップ」ではなく、「ゲラップ」

また、日本人には難しいと言われているlとrの区別もきちんとつけましょう。日本人にはlightもrightも「ライト」に聞こえるかもしれませんが、lは舌先を上の前歯(歯茎)の裏につけてラリルレロですが、rは舌先をどこにもつけないで、やや舌全体を喉の奥に引きながら舌先を上げてラリルレロです。極端に舌を巻きあげる必要はありません。

そして、最初は1文をいくつかのグループに分けて発音し、次に1文全体で発音するようにしましょう。もちろん短い文ならば初めから1文で発音練習してもかまいません。

CDを使う際には、スクリプト(台本)を見たまま最初はCDの音声をしっかりと聞いてから、音声を止めて自分で発音するようにしてください。そして、次にCDの音声と同時に自分も一緒に発音するようにしてください。それから、スクリプトを閉じて、CDの音声だけを先に聞いて、次にCDを止めて自分も続けて発音しましょう。そして、スクリプトは見ないまま、CDの音声と同時に発音をするようにしてください。

英語入門者がやるべき作業はここまでです。ここまでを繰り返し練習するだけでも理論(英文法)で学んだことがしっかりと定着し、フレーズも暗記できるはずです。また、正しい発音を行うことでリスニングの力も飛躍的に伸びているはずです。