「聞くだけで英語が話せる」なんて本当なの?それならとても楽だよね。

実は聞いているだけでは英語は話せません。「聞き流すだけで英語が話せるようになる」といった類の教材が世に出回っているようですが、その効果はいかほどなのか、信じがたいです。聞き流すだけで話せるようになるのは、生まれてから3歳くらいまでと言われています。大の大人が、電車の中でイヤホンをつけて、英語を聞き流している姿を思い浮かべてください。そして電車を降りて携帯で突然英語で話し出すなんてこと、想像できますか。もしそんなに簡単ならば政府も本腰を入れて教材を学校に投入するはずですよ。

実はこれは意識の問題です。あなたがどうしても来月から英語を話さなければお給料をもらえないような職場であるとか、あなたの周りには英語を話す外国人しかいなくて、あなたも話さなければ周りから置いておかれるような危機的な状況にあるような、比較的切羽詰まったような人ならば聞いているだけでも十分効果はあるでしょう。いくら内容が面白くても、すごい効果を謳っていても、あなたのモチベーションが継続しないならば、はっきり言って「聞き流して話せる」というのも無駄な投資活動にしかなりません。

しかし、英語を聞くことは大事ですし、大量に聞くことはは今後の勉強の進展においてはとても効果的です。英語を聞くことで独特のリズムが定着するし、ある程度のスピードにも慣れます。プレイヤーによっては倍速機能がついたものや、倍速のアプリなどもありますので、速聴を繰り返すことで、普段のスピードがゆっくりになり劇的に聞き取れるようになるのも事実です。しかし、それで自分の思っていることを話せるとは考えにくいものです。

問題は、「聞き方」なのです。

ところで、あなたは「てげてげ」と聞いて意味が分かりますか。鹿児島の方言で「適当な」という意味だそうです。意味を知ったら「なーんだ、そんな意味か」とスッキリしますが、意味もわからないまま何十回も何百回も聞いていても全く効果がありません。中には「前後の意味から推測して」と教えられることもあるようですが、「類推」と「聞き取る」は全く違います。「聞き取る」というのは、一語一語はっきりと文字にできて、しかも意味が分かるということです。騒音などで相手の言っていることの一部が分からなかった場合、普通は「聞き取れなかった」と言いますよね。
だから、英語初心者にとって理解できない言葉を何回聞いても、それは時間の無駄であると言わざるを得ません。英語を聞いて言語化する必要があるのです。

逆に言えば、習ったことのある内容を聞くことはとても意味があります。ですから、「知らない内容」ではなく、「知っている内容」を聞くようにしてください。そして、聞いたら必ずスクリプト、すなわち台本や原稿に目を通してください。自分が聞いた音がboatなのか、boughtなのか、再確認する必要があります。あえてカタカナで表せば、前者はボウト、後者はボートとなります。そしてもう一度、音声を聞いて聞こえ方を確認してください。最後に、音声に合わせてスクリプトを見ながらつぶやいてみてください。人が大勢いるような所では、心の中でつぶやいても大丈夫ですよ。